(準一級から)英検一級への道
よく言われることですが、英検は準一級から一級の差がすごく大きいです。
準一級が取れる英語力があれば日常会話やビジネス英語にも対応できるとは思いますが、英語が好き、英語を通して欧米の文化的なものも学びたい等を考えている方には、英検一級はトライしがいのある試験で、そこに向かって勉強することに大きな価値があると考えています。
こちらについてはまず筆記試験について、自分の考えを残しておきます。
■準一級から一級合格までかかる期間
身も蓋もないのですが、期間はやはり人によると思います。僕の場合は合格まで12年かかりました!長いでしょうか?!
仕事をしながら勉強を続けるのは大変です。仕事だけではなく家庭・生活の事情で時間の確保が難しかったり、色んな心労で勉強が手につかないこともありますね。僕も仕事のストレスで二年間勉強がまったく手につかないことがありました。。
それであれば総勉強時間は?僕自身の場合だと、押しなべて1日30分で計算すると勉強していない2年を除いた10年で計算して1825時間。一日一時間勉強すると5年かかることになります。もちろん自分一人だけのほんの一例ですが。
受験し始めて4, 5年ぐらいで一次試験にぜんぜん通らないので自分には無理なのかも?!と真剣に考えたこともありました。結局、純粋に実力不足なんだと理解して、実力がつくまで一旦試験を受けることをやめました。
そこで再度何が足りてないのかを考え、合格された方の情報を探したり、土台作りをすることにしました。現実を知ることはときに痛いものですね。。
結局12年ほどかかりましたが実際に取ってみると、やはり通らなかった当時は実力が足りていなかったと分かりますし、また決して越えられない壁ではないことが分かりました。合格だけを考えると大変に思えますが、英語力が上がるだけでなく、英語を通して世界や教養を学ぶこともでき、そこにも大きな意義があると思っています。
僕が受けた試験の中でも一級が受かった時の喜びは特別なものでした。
■ 筆記試験の問題のつくり
- 語彙 – 25問(選択式)
- 長文穴埋め – 6問(選択式)
- 長文読解 – 8問 (選択式)
- 英作文 200 – 240語
- リスニング 27問(選択式)
(24年3月現在)
問題はいたってオーソドックスです。語彙強化をのぞいて、「英検向け」にという勉強ではなく総合的な英語学習が求められ、そのことがまた英検一級のいいところだと思います。
■ 一級筆記試験に向けてどう勉強するか
いい意味で「王道なし」です。特効薬がなく、全体のレベルを上げる必要があります。
僕自身の考え違いだったのは、最初は「難しい(高いレベルの)教材」をすることにこだわったことでした。
そもそも基本的な土台の部分がぐらついていると、難しいものを勉強しても定着しずらいと思います。
また、僕はそれまではTOEICを重視して勉強をしていて苦手意識のある英作文やスピーキング対策をほぼしていませんでした。そうすると伸びが頭打ちになりことがあると思います。僕も、全然一次試験を通過しないので考えを改める必要がありました。ちょうど仕事でも英語を使う機会が出たため英作文やオンライン会話を始めたのですが、そこで一段上のステージに上がれたと思います。
結局、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングは全て相関関係になっていますので、勉強の仕方に成果が感じられないときはそこに立ち返ってみるのはいいことだと思います。
考えてみてください、何十年前かは生の英語を聞くために高いお金を払って学校に行ったり、ラジオの電波を拾って外国人向けの放送を聞いたりずっと学習者の方々は苦労していたのですが、今は家にいて世界中の人とオンラインで会話ができるなんてこれを活用しない手はないと思います。
準一級から英検一級に向けて、全体の底上げが必要ですが、僕が特に強化が必要と考えたのが以下です。
1)語い力
2)読解力
3)英作文
1) 語い力
英検一級といえば「語彙」が難しいとよくいいます。
実際にこのパートは重要と思います。僕が一次(筆記)を通過した際もこの語彙パートは25問中20問以上は取れていました。
語彙強化は筋力トレーニングのようなもので、それ自体に楽しみが見出しづらいものですが、単語の参考書を使って空き時間などでコツコツ覚えていくしかないと思います。
[コロケーション]
一級に向けて勉強を始めたときにちょうど植田一三さんの「発信型英語10000語レベルスーパーボキャブラリービルディング」(ベレ出版)が出版されて、最初はこれをずっと使っていました。この本が、コロケーション(連語)を使って、例えば形容詞(例:ardent 熱心な)なら一緒によくセットになる名詞(例:supporter 支持者)も一緒に覚える(ardent supporter)という考えでCD音声もそのように録音されていて、僕は音声を聞きながらそこにかぶせて自分も声を出すオーバーラッピングと呼ばれる形で主に使用していました。僕のlazyなところで・・できれば楽したいのでこの形だと目を閉じながらできますしね(笑)
何年も一次を通過できなかったので、この方法の効果が分からないまま段々と使わなくなったのですが、後々になってそのときに聴いていた「音」が耳に残っていることに気づきました。英文の中に出てきて単語の意味が思い出せなくても音の記憶にある連語から意味を推定で来たり、コロケーションの学習方法はとても意味があったものと考えています。
(※Amazonを見ると現在この本はKindle版のみの発売でその場合は音声が付いていないようです)
後は、「英検1級 でる順パス単」は定番で私も使っていましたし受験会場でも多くの人が持っていました。
参考として書きましたが、その他ご自身が使いやすいものを選べば良いのです。ただ一つ言えるのは、いずれにせよ単語集を使うのが効率がいいと僕は考えています。
2) 読解力
TOEICで問われる英文は、広告やビジネスメールをはじめ日常・ビジネスで使われる英語に即していて実践的です。
英検一級の英文では、歴史や科学などより内容のある英文を読んで理解しないといけません。ここでも単語力がないと読めない訳で、結局はすべてがつながってきます。
正直に言いますと、英検一級に向けて勉強を始めたときに、問題の選択肢の英語がそもそもちゃんと読めていないことが多々ありました。単純に実力不足でした。
そこで私がしたことの一つが、英文だけの素材(洋書・英語雑誌など)を教材として使うこと。憧れもあってこれは当然したくなるものだと思いますが、効果でいうと実は薄いと思います。
今でも僕はその悪い癖が抜けなかったりするのですが、、「何となく」でざっと読んだ気になってしまう。ちゃんと読んでいるんではなくて、書いてあることを想像に頼っている状態です。常識的な内容が多いテストはそれでも答えが合うこともあると思いますが、一級はそれでは通過できませんし、そもそも英語学習という本来の目的からずれてしまいます。もしその英文の内容が常識と反対のことを主張している場合は完全に読み違えることになります。
そこで、英文にちゃんと日本語訳がついている教材を使うことが効果が高いと思います。
- 高校生向けの参考書
受験参考書は値段も比較的安く、かつ内容もいいものが多いです。
英文読解で有名な学参は一通りしましたが、自分の読みやすさに合わせて、かつレビューの高いものを選べば良いかと思います。
例えば「ポレポレ英文読解プロセス50」(西きょうじ著/代々木ライブラリー)はとてもよかったです。他、理論的な話が好きな方なら伊藤和夫の「英文解釈教室」(研究社)や薬袋 善郎の「英語リーディング教本」(研究社)もいいかと思います。英語の前に日本語を理解することが必要で僕もコツコツ少しづつ読みましたが(笑) - CNN ENGLISH EXPRESS
英語学習者向けの月刊誌で、CNNのニュース内容を素材にしていて、とてもいい雑誌だと思います。読解とリスニングの学習になります。英語を学習することを通してアメリカを中心として世界で起こっていることを学ぶ、僕にとってはこれこそ英語の目的という感じです。日本語訳と単語や文法の説明などが丁寧に書かれていて内容も変化に富んでいるので、飽きもきません。
英検一級といわず、大学生ぐらいなら毎月読むことを勧めたいです。
3) 英作文
英検一級では200 – 240語の英作文の問題があります。先に書きましたように、僕は英作文のトレーニングをさぼっていまして、、かつ大学受験でも英作文が不要なところを受けましたのでやっていませんでした。長い英文も結局は短文の集まりですので、自分のレベルに応じて、場合によっては5文型の演習的な基本の短い文の日本語を英語にするトレーニングをしていき積み上げていくしかないと思います。英文を読んでそれが分かるのと、それを英文で発信できることは別物ですので。(これは今でも自分には耳が痛いです・・)
- 瞬間英作文トレーニング シリーズ(森沢 洋介著/ベレ出版)
準一級を取った時点でこのぐらいのことはすでにされているかとは思いますが、挙げておきます。ベストセラーになっているだけあってとてもいい学習書で、中一で習うようなごくごく基本的な文から、それを瞬時に英語にできるようにとレーニングする内容です。英作の土台が固まっていない場合はここから始めるのもいいかと思います。 - 高校生向けの参考書
読解のところでも書きましたが、高校生向けの学参にはいいものが多いです。
僕は当時Amazonのレビューを見て、「竹岡広信の 英作文が面白いほど書ける本」(竹岡広信著/中経出版)を使いました。なにせ基礎ができていないのですから、基本的でよく使われる文型、日常よく使われる言い回しをカバーしていて使いやすいものであればよいと思います。あとは例えば、DUOなどの英単語集の例文を英作文用の教材に使うのも良いと思います。
学参で特に歴史があるものは言い回しが古いものがあると思います。ただ、目的はまず「自分の考えを伝えたいことを伝える」ことなので、多少言い回しが古くても、まずはしっかり文型の基本部分を使って日本語から英語にして伝えるトレーニングをすることが必要だと思います。
それもふまえて、どの参考書を選ばれるかはレビューや使いやすさ参考にして選ばれれば良いと思います。 - 最短合格! 英検1級 英作文問題完全(ジャパンタイムズ , ロゴポート著/ジャパンタイムズ)
これはとてもいい英検一級向けの参考書でおススメです。
日本社会、人権、犯罪、国際問題、経済・・・等の分野ごとの様々なトピックについて50word程度の短い文章やモデルエッセイが書かれていて、網羅的に学習ができます。
この本は英作文だけでなく、そのまま二次の口頭試験にも伝えるためとても有用です。
以上、ここまで英検一級筆記試験について自分が経験して必要だと考えたものを書いてきました。
二次口頭試験については別途書いていきます。